『パース塾』のネット上の批判は正しいのか

『パース塾』を参考にパースの描き方を学ぼうと思う。



しかしこの本『パース塾』はネットでいくつか批判がある。
この本で学んでほんとうによいのか‥‥この本は信頼できるのか?
検討してみよう。

批判コメント1

http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4331513092/ref=cm_cr_dp_synop?ie=UTF8&showViewpoints=0&sortBy=bySubmissionDateDescending#R2HIIGMZFY5AQJ

★☆☆☆☆ このパースの説明、間違えていますよ。, 2007/10/5
By よこしまながれ (大阪府大阪市)


この本に書かれている3点透視図法に関して、その内容が間違えています。


本書の前半部分でアイレベルの説明がされていますが、極端なアオリのアングルで
アイレベルがフレームの中に入ることはあり得ません。
技術的に丁寧に解説がされているのに、根本的な部分で著者が間違えた認識のまま
なので、この本をつかってパースペクティブについて学ぼうとする方は
大変な打撃を被る可能性があります。


後半の作品例など(例えば駅改札を描いたものなど)は、カメラアングルが
下を向いている(俯瞰)になっているにも関わらず2点透視で描かれています。
これは、カメラが駅舎の中にあることを考えるとあり得ない構図です。
マンガの構図として、あえて3点透視にせず2点透視として扱うことが
あったとしても、その説明をきちんと行わなければ、読者は大きな誤解を
抱き続けることになります。


そもそも著者が3点透視の捉え方を根本的に間違えていますし、それはパース塾2でも
なんら訂正されていません。正しくパースペクティブについて理解を深めたいので
あれば、本書を使用するべきではありません。


「極端なアオリのアングルで
アイレベルがフレームの中に入る」のは、これだね。


「駅改札を描いたもの」は、これ。



この批判については、そのコメントのひとつ上のコメントがフォローしている。

★★★★★ 背景画をラクに描きたいならコレ!, 2007/10/19
By ももの木 (東京都武蔵野市)

‥‥

三点透視については、「こういうものです」と解説した上で、「遠い三点目を取るよりもこうすればラクに三点透視っぽくなる」と解説しているので、絵を描く人にとっては必要十分な内容と思います。
三点透視の説明の絵ではアイレベルを画面に中に入れていますが、一点透視からのつながり上、そのほうが説明しやすいんだなと理解しました。三点透視の例として挙げている絵はどれもアイレベルがフレームアウトしてますし。


ちょっとくらいの俯瞰やあおりなら、私も二点透視をベースに描いています。
室内の絵であっても、壁をとっぱらって遠くから眺めているような絵にできるのが絵画の自由な所です。
テレビドラマでも室内の壁をとっぱらって撮影してますし。「そう見えるべきだから」と無理にパースをつけてしまうと、逆に絵としては不自然かも。つまりこれは「画力がUPする」とタイトルにある通り、 「絵に利用するためのパースの本」と捉えるべきでしょう。


人物の描き方のページの所で、視覚的に正しい三点透視の絵と、俯瞰図を二点透視で描いた絵の比較があります。そのあたりが、さらに詳しく知りたい人の参考になるのでは。

「視覚的に正しい三点透視の絵と、俯瞰図を二点透視で描いた絵の比較」というのは これ。


つまり、批判コメントでは「あえて3点透視にせず2点透視として扱うことが
あったとしても、その説明をきちんと行わなければ、」と言っているけど、
フォローコメントでは「その説明はちゃんとしてあるじゃないか」と書いてあるんだね。


ちなみに、扱っている『パース塾』の写真は山海堂の初版第一版(2006)から取り込んだ。
だから、Amazonのコメントを見たあとで修正された版ということはないよ。



批判コメントの「そもそも著者が3点透視の捉え方を根本的に間違えています」というのは、
根拠が指摘されてないので、よくわからない。



批判コメント2

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★★☆☆☆ 作例の自動車が事故ってる(パースが間違っている), 2009/7/27
By 千葉県産落花生 (千葉県)


著者等が全て女性なためか、少女漫画向けインテリア関係の絵はそれなり。だが車やバイク(といっても宅配用)でボロが出た。94〜95ページは特にひどい。歩道付道路にセダン車を配置する作例だが、配置の位置を示すボックスがそもそも間違っているので、車が歩道に乗り上げていて、見えない側は歩道のポールにめり込んでいる構図になっている。しかも右前輪は車軸からはずれているジャンク車。車のタイヤはアニメーター・漫画家志望の初心者が必ずつまずく作画の関門なので、別の本を参照することをお勧めします。


ほかにも「アイレベルに対して垂直」とするところを「画面に対して垂直」と記述するなど、少年漫画向け・アニメ向けのダイナミックな構図あるいは美少女ゲームイベント絵のような斜めの構図を描きたい人には混乱を引き起こす記載が散見されるので読む際は注意が必要。鵜呑みにしないように。
基礎は丁寧に書いてあるので、他の本と併用するのが良いと思います。


「歩道付道路にセダン車を配置する作例」は、これ。


たしかに「車が歩道に乗り上げて」、「右前輪は車軸からはずれている」。
作例はちょっといい加減なところもあるようだ。


『「アイレベルに対して垂直」とするところを「画面に対して垂直」と記述する』
というのは、一点透視のとこなど確かにそう書かれている。まあこれは斜めの構図を書きたい人なら勝手に読み替えて理解できると思うので、大きなミスではない。


批判コメント3

http://flafla.s31.xrea.com/drawing/books/index.php/topic/pers/849

14-260 名前:スペースNo.な-74[sage] 投稿日:2006/08/31(木) 11:33:42


>>259
最低限必要な知識書いてないよ
消失点の正確な位置の求め方すら書いてない本はパースの本と名乗るなと思った
あれでは勘で背景を描く補助線の描き方の本でしかない

これはアレかなあ。
http://mazikanon.blog102.fc2.com/blog-entry-285.html
にある

のことかな? 私もまだパースに詳しくないのでこの図を理解できていないのだが、
確かにこの図は『パース塾』にはなかった。


批判コメント4

★★☆☆☆ …, 2009/5/12
By ソララトフ


シリーズ三冊全て買いました。わりと丁寧な解説本だが、結局この本も奥行のとり方や、二点透視で2つの消失点の正確な位置(角度)の出し方なんかには一切言及されていません。だからそこらへんがいまいち分からなくて悩んでる諸兄には何の役にも立たない代物です。レビューで高評価を与えている方々はこの本の説明で、例えば正方形(立方体)を二点透視であらゆる角度から正確に描くことが出来るんでしょうか?すっごい不思議です。
‥‥


これも批判コメント3と同じことを言っているのかな?


とりあえず分かったのは、このシリーズだけではパースを理解するにはたりない、ということ。
ほかの本読んで理論や説明を補充することも必要。
それを忘れなければ、この本の補助線の説明とかは丁寧なので、この本を参考にして問題ないようだ。